医学

健康サービス従事者なら知っておきたい【認知症マニュアル】

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「認知症800万人時代」と言われその家族な増加傾向は今後も続く見込みです。
人ごとではない認知症。
健康サービス従事者なら知っておきたい基礎知識をまとめました。
認知症は発症20年前から、じわじわと症状が進んでいきます。

40代、50代、60代から予防を始めましょう。

認知症とは

認知症とは知的機能が脳の障害によって持続的に低下し、そのため家庭生活や社会生活に支障をきたすようになり、人の援助が必要になった状態を言います。薬やお金、衣類の管理ができなくなったような場合は誰でも認知症とわかります。
しかしもっと軽い場合は、年齢のせいで見過ごされることがあります。例えば料理が上手く出来なくなった、使えていた携帯電話やメールが出来なくなった場合も認知症の可能性が高いと言えます。

認知症の種類と原因

認知症と言っても原因により認知症にも種類があります。

日本人に多い認知症はアルツハイマー型認知症で約70%をしめています。

アルツハイマー型認知症以外には
脳血管性認知症 約10%
レビー小体型認知症1 約10%といわれています。

アルツハイマー型認知症

原因

私たちの脳にはアミロイド・ベータ・タンパク(Aベータ)というタンパク質が微量に存在します。脳で作られたAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)は溶けた状態で存在しすぐに分解除去されるので脳にとって正常時は無害です。しかし老化やその他の原因によりその分解除去機能が低下すると、Aベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)が脳に蓄積されていきます。さらに過剰になると固まりを形成 (凝集)するようになり、固まったAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)は神経を傷つけるようになります。
この傷が原因となって神経細胞の中に溶けていた「タウ」というタンパク質も固まり始め、神経細胞が次々に死んでゆき、アルツハイマー型認知症が発症していきます。

病理

アルツハイマー病で亡くなられた患者さんの脳は萎縮しており、顕微鏡で見るとAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)がガチガチに固まり脳に沈着し、老人班と呼ばれるシミやタウたんぱくが糸くず状に固まってできる神経原線維変化と呼ばれる病変が見られるのが特徴です。

症状の特徴

アルツハイマー型認知症は記憶の中枢である海馬とその関連領域から始まるので、物忘れから始まる特徴があります。海馬は最近の記憶を一時的に貯めていくところなので、ついさっきの出来事を忘れるようになります。さらに日付や場所などがわからなくなり(見当識障害)、料理や買い物ができなくなるといった症状(実行機能障害)が現れてきます。また空間認識に関わる頭頂葉というところが強く障害されるので、時計の絵が描けなくなったり(構成障害)道に迷ったりします。さらに進行すると幻覚、妄想、徘徊などの行動心理症状が見られるようになります。

脳血管性認知症

原因

動脈硬化や高血圧などのために脳血管が詰まったり破れたりすると、その血管が支配する領域の脳細胞に十分な血液が行き渡らず、脳の機能が部分的に失われます。このような病変が脳のあちこちにできるとついには認知症の状態になります。従って、脳血管性認知症は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などをきっかけに比較的急に怒ってきて階段状に悪化します。
また脳の動脈は脳の表面から垂直に入り深部に行くほど細くなるので深部ほど血流が途絶えやすくなり、夜間の血圧低下などを繰り返すうちに深部白質の変性が起こります。そして徐々に進行性の経過をとる場合もあります。いずれの場合も脳血管性認知症は高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など、動脈硬化を促進する危険因子を持っている人に多く見られます。

症状特徴

脳血管障害が起こった部位の症状が出ますが、障害が起こっていないところの脳機能は保たれますので、「まだらボケ」などとも言われています。
また前頭葉が障害されやすいので意欲や自発性の低下が目立ちます。さらに歩行障害、手足の麻痺、ろれつが回らない、排尿障害などの身体症状を合併することが多く、うつ症状、夜間せん妄、興奮などもよく伴います。

レビー小体型認知症

原因

レビー小体型認知症は何らかの原因でアルファ シヌクレインというタンパク質が固まることによって認知症を起こします。
この塊は脳の神経細胞内に球状の構造物として見られこれは発見者の名前にちなんでレビー小体と呼ばれます。

症状特徴

アルツハイマー型認知症との大きな違いは原子家パーキンソン症状を初期から伴うことです。原子は実際にないのに三毛猫がいっぱい来ているとか、小さい女の子がいるなどと具体的に表現します。その他うつや自律神経症状、夢をよく見て大声あげたり、症状の強さが日によって、また1日の中でも時間によって違うと言った特徴も見られます。

その他の認知症

  • 前頭側頭型認知症
  • 正常圧水頭症
  • 慢性硬膜下血腫
  • 嗜銀顆粒性認知症
  • 神経原線維変化型老年期認知症
  • 海馬硬化症

認知症は予防できる

認知症の前段階である軽度認知障害 MCI

認知症、特にアルツハイマー型認知症はある時、急になるものではありません。
徐々に徐々に起こるので正常の時と病気がはっきりしてきた時の間にグレーゾーンが存在します。 物忘れが激しくなっているがまだ認知症ではない段階を軽度認知症障害といい、英語では「mild cognitive impairment 」と言います。この頭文字をとって MCI (軽度認知症障害)と呼ばれます。
MCI(軽度認知症障害) の多くは認知症に移行しますが、一部は正常に戻るかあるいは認知症に移行しないで MCI(軽度認知症障害)のまま止まることができます。

発病の20年も前から病変がおきている

最近の研究によるとアルツハイマー病の脳病変は発病の20年も前からスタートすることが分かってきました。Aベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)が固まって神経細胞を傷つけ始めるのは発病の20年ぐらい前からとわかったのです。この頃は物忘れもほとんどない。あっても歳のせいと言われる程度のものでこの時期はアルツハイマー病無症候期と呼ばれます。
やがて物忘れが強くなり MCI の時期になります。さらに進行するとアルツハイマー病による認知症の症状が出てきます。アルツハイマー病を発病するのは70〜80代のことが多いのでAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)が脳で固まり始めるのは40代後半、50〜60代と考えられます。

発症してからでは遅い

認知症が発症すると医師による診断をもとに投薬やリハビリなどの治療が始まります。現在認知症の症状を若干改善し進行を遅らせる薬はありますが、進行を止め病気を根本的に治す薬はありません。発病した時点では脳がズタズタに犯されているからです。従ってアルツハイマー病の変化が脳に現れてきたらできるだけ早く発見し、手を打つ必要があります。
無症候期からMCI(軽度認知症障害) までが予防のベストタイミングとなり継続して行う必要があります。

認知症の早期発見のために

認知症は早期発見が重要だと言われている理由は超早期であれば生活の中で改善予防することが可能だからです。 MCI の時期は物忘れが人一倍強いことで、ある程度推定できます。
しかしMCI(軽度認知症障害) に入る前の無症候期では誰もがある物忘れ、年相応であるのでこれに気づくのは難しいです。
MCI(軽度認知症障害) と思われる症状があれば物忘れ外来の受診をお勧めします。
無症候期の方は認知症になりにくい生活習慣を改めるようにしましょう。

MCI(軽度認知症障害) 早期発見リスト

  • 最近の出来事をすっぽり忘れることが増えた
  • 作る料理の味が変わった。(味が濃い、何も味付けをしていないなど)
  • ものやゴミが片付けられず部屋が散らかっている
  • 臭い匂いに気づかない
  • 洋服の選び方がちぐはぐ(夏なのにコートを着る。パジャマのまま外出しようとする)
  • 身だしなみを気にしなくなった
  • お化粧をしなくなった
  • 人との交流を避け、家に閉じこもることが多くなった
  • 気分のムラが大きくなり、感情的になった
  • 怒鳴ることが増えた

認知症早期発見検査

アミロイドイメージング

アミロイドイメージング検査はエベレーターの塊に結合する化学物に放射性同位元素をつけたものを注射しPETと言う機械で映像をとるものです。PET という機械は高価なためどこでもこの検査を受けられるわけではありません。

最近アルツハイマー病の原因物質であるAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)が固まり脳に沈着したところを映像でとらえる技術が開発されました。海外では実用化されていますが日本ではまだ治験段階です。

髄液検査

腰から針を刺して脊髄液を取り 、その中のエレベーターやたおの量を測る方法です。
アルツハイマー病を発症する20年も前から髄液のAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)42(42個のアミノ酸からなるかたまりやすいAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク))が減少していきます。 このAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)42が減少するというのはAベータ(アミロイド・ベータ・タンパク)が固まり脳に蓄積し始めたことを意味します。10年ほど遅れて「タウ」が増加しますこれは神経細胞が壊れ始めたことを意味します。

血液検査

腰から針を刺して髄液を取るのは大変なので血液で超早期発見する方法も開発されています。血液中のいくつかのタンパク質を測定することで好感度の診断法を開発しデータを積み上げる検査方法があります。

超早期診断法の利用の注意点

将来アルツハイマー病になる人は無症候期に既にこれらの変化が現れています。根本的予防薬がまだありませんので無症候期の人がこれらの検査を受けることは推奨されていません。あくまでの研究のためあるいは自分の人生設計の参考にするために受けることになります。自分の将来のために受ける場合には人間ドッグ脳ドッグと同様に保険適用はありません。

すぐにできる認知症の予防対策

認知症予防は早すぎるということはありません。今日から認知症予防対策を始めましょう。カラダ全体の老化対策は認知症対策でもあります。

認知症の主な危険因子、抑制因子

すぐに改善したい危険因子

  • 老化
  • 運動不足
  • 肥満
  • 喫煙
  • 糖尿病
  • 偏った食生活
  • 脂質異常症
  • 高脂血症
  • 頭部外傷
  • 低教育水準
  • 過度なアルコール摂取
  • 高血圧
  • 過度のストレス
  • うつ
  • 遺伝因子 アポリポプロテインε(イプシロン)4

いますぐ生活に取り入れたい抑制因子

  • 運動習慣
  • 趣味活動
  • 社会参加
  • ビタミンミネラルの多い食生活
  • 緑黄色野菜
  • 地中海料理
  • 高い教育水準
  • 30分以下の昼寝

認知症は生活習慣病の一つです

認知症の中でもアルツハイマー病と脳血管性認知症は肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と特に関連性が高く、生活習慣病を防ぐことは認知症の発症を防ぐことになります。

発症前であれば生活の中で予防できる

認知症の最大の危険因子は老化です。また生活不活発や糖尿病などの生活習慣病も大きな危険因子となっています。一方運動、知的活動、趣味社会的交わり、魚や緑黄色野菜、ビタミン E やビタミン C は認知症の抑制因子です。生活の中にある危険因子を減らし、抑制因子を積極的に取り入れることで認知症の発症をある程度予防することができます。

治療薬は進行を遅らせるだけ

アルツハイマー病に対しては症状の改善と進行を遅らせる効果のあるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(塩酸ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン) とグルタミン酸受容体拮抗薬(塩酸メマンチン)が処方できるようになり患者さんの QOL 改善、介護者の負担軽減に貢献しています。しかしこれらは根本的予防治療効果はなく病気の進行は避けられません。またこれらの薬は認知症発症後にのみ処方可能で、軽度認知障害あるいは 無症候期には処方することができません。
最近の研究ではアルツハイマー病は発症の20年前から脳の病的変化がスタートしていることがわかり発症後の治療開始ではもはや遅く、早期発見・予防・治療が重要であると言われています。厚生労働省も認知症短期集中リハビリテーション加算などを導入し、予防に力を入れています。
2015年4月から食品の機能性表示が許可になりサプリメントに効能表示が可能になりました。しかし何も試行錯誤の段階でありどのようなプログラムが良いのか、どのようなサプリメントにより高いエビデンスが得られているのかがわからないのが実情です。

まとめ

認知症は予防できます。物忘れが多くなってきたらすぐに予防しましょう。

ほとんどの方が「年齢のせい」とあまり気にせずあきらめて受け入れています。その時に予防をすることで、認知症の進行を遅らせることができるのです。認知症は本人はあまり困ることはありませんが、家族や周りの人を巻き込む症状です。平均年齢が80歳時代、認知症予防はすべての人に必要なのです。

老化を止めることはできませんが、遅らせることはご自身の小さな努力と意識で簡単にできます。健康教育が遅れている日本。日頃から正しい知識を身につけること。若いうちから、健康的な生活習慣を身に付けることが必要です。

Keiko
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吉田 圭子

日本健康医学コンシェルジュ協会 会長:吉田 圭子

日本健康医学コンシェルジュ協会 会長 メディカルコンシェルジュとして、医療現場で予防医学を学ぶ。医師と連携し、食事療法などで末期がんで余命2ヶ月と診断された父を最後まで好きなものを食べ、寝たきりにならないようにし8年介護をした経験から、日本健康医学コンシェルジュ協会を設立し、健康サービス従事者と医師、医療機関の連携。 ウソやインチキ、だましの多い健康情報の中から、正しい情報を精査する知識と能力を身につけることができる場所を提供している。

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